戦災・災害で戸籍が失われていても、ルーツはたどれます

「先祖の戸籍を取り寄せようとしたら、戦争で焼けてしまって残っていないと言われた」——家系図やルーツ調査のご相談で、こうしたお話をうかがうことは少なくありません。がっかりされるお気持ちはよく分かります。けれど、戸籍が失われていても、ご先祖への道が完全に閉ざされてしまうわけではありません。この記事では、戦災や災害で戸籍が失われるとはどういうことか、そしてそこからどうたどっていけるのかを、やさしくご説明します。

戦争や災害で戸籍が失われることは、実際にありました

戸籍は各市区町村の役所に保管されてきましたが、戦争や自然災害で焼失・滅失した例は数多くあります。たとえば東京の本所区(現在の墨田区)では、1923年(大正12年)の関東大震災で約7万5000〜8万件、およそ32万人分の戸籍がすべて失われ、その後1945年(昭和20年)の東京大空襲で再びすべてを失いました。空襲では本所区のほか麹町区・赤坂区などでも戸籍が全焼しています。豊島区のように、焼失は免れたものの防空壕の浸水で約5000冊が失われた例もあります。

焼失した戸籍は「再製」されたのか

失われた戸籍は、可能な範囲で作り直されました。これを「再製」といいます。ただし、再製できたかどうかは地域や時期によって異なります。

  • そのとき生きていた方の戸籍は、申告などをもとに再製されたことが多い
  • すでに亡くなった方や、婚姻・養子縁組で除かれた方の記載は、再製された戸籍に載っていないことがある
  • 役所と裁判所の両方で副本まで焼けてしまった場合は、除籍が再製されずに残ったところもある

つまり「再製戸籍はあるけれど、焼失前とすべて同じ内容ではない」というケースが生じます。ここが、ルーツ調査で行き止まりを感じやすいところです。

戸籍が取れないときの「焼失証明・告知書」

戸籍が焼失して発行できない場合、市区町村は「告知書」や「戸籍(除籍)焼失証明書」といった書類を出してくれます。これは「この戸籍は災害・戦災で失われ、現存しません」ということを公的に証明するものです。相続手続きでは、取得できる戸籍に加えてこの証明書、そして相続人が事情を説明する上申書をあわせて提出することで、手続きを進められる場合があります。まずは本籍のあった市区町村の窓口にご相談ください。

戸籍が残っていなくても、ルーツはたどれます

一つの役所の戸籍が失われていても、手がかりは他にも残されています。家系図調査では、次のような資料を組み合わせてご先祖に近づいていきます。

  • 婚姻や養子縁組で他の市区町村へ移った家族の戸籍(別の役所に残っていることがあります)
  • お寺に伝わる過去帳、ご自宅の位牌、お墓の墓誌に刻まれた戒名や没年
  • 江戸時代の宗門人別改帳や、旧土地台帳などの古い記録
  • ご家庭に残る古い手紙・写真・語り継がれてきた言い伝え

これからの戸籍は、失われにくくなっています

近年は、災害への備えも進みました。2011年(平成23年)の東日本大震災では、南三陸町・女川町・陸前高田市・大槌町で戸籍が失われましたが、法務局が保管していた戸籍の副本から再製され、同年4月に再製データの作成が完了しています。この教訓から、戸籍の副本を国が一括して保管するしくみ(戸籍副本データ管理システム)が整えられ、いまは災害があっても復元しやすい体制になっています。なお、除籍簿の保存期間も2010年(平成22年)に80年から150年へと延ばされました。ただし、すでに保存期間を過ぎて廃棄された古い除籍簿は戻りませんので、調査はお早めがおすすめです。

戦災や災害で戸籍が失われていると聞くと、心細く感じられるかもしれません。それでも、残された記録を一つひとつ丁寧につないでいけば、ご先祖の歩みは驚くほど鮮やかに浮かび上がってきます。KINOKAZEは、行き止まりに見える調査にも真心を込めて向き合い、あなたのご家族の物語をかたちにするお手伝いをいたします。

家系図・ルーツ調査のこと、まずはお気軽にご相談ください。

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